暮らしの原点
地方で生活していると、暮らしにおいて不便さが必要なのではないかと感じます。
それは、地域で支え合いの文化が生れるからです。
そして、その不便さから暮らしの豊かさを発見できるからです。
単に「田舎の暮らし=不便な生活」という認識に置き換えるのではなく、中山間地域には、私たち人間の暮らしのヒントがあるということです。私たちはもう一度、暮らしの原点を見つめ直す必要があるのです。
私たち日本人は、元々中山間地で生活を送っていました。動物や川魚などの食糧から、住むために必要な建築材料など、生活するために必要なモノは、ほとんど自分たちで揃えていたのです。それが段々と、生産性や利便性を追い求めていき、中山間地から平野部、そして都市へと暮らしの拠点を変えていきました。効率的で便利な生活が、豊かな暮らしになると考えていたからです。
しかし、実際は都市での生活に、それほどの豊かさがあるとは限りません。貰っている給料と生活していくために必要な支出のバランスが難しい都市での暮らしは、日々の生活の中では、なかなか豊かさを感じられる時間がないのです。
一方、地方で生活していて一番感じるのは、住民同士での関わり合いが、暮らしに大きく影響していることです。つまり、支え合うこと。この支え合いの文化が根強く残っているため、中山間地域という「不便な生活」とされている環境の中でも生きていけるのです。
この支え合いの文化を知ることが、これからの地域づくりにおいて、そして豊かな暮らしのヒントになると考えています。なにも、便利な都市での暮らしを捨て、原始的な田舎暮らしを押し付けているわけでも、紙幣価値に対しての異議を唱えるものでもありません。私たちは、この現代において資本主義の常識に翻弄された暮らしよりも、自然資源を利用して、支え合う生き方が、暮らしの発見や人との繋がりが増え、生活に豊かさを与えてくれるのではないかと考えているのです。
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