なぜ植酸栽培を選んだのか

自然に優しい農を実践するにあたり、迷ったのが自然農か有機栽培かということ。


地球の生態系に合わせた栽培方法である自然農は魅力的です。いつかは私もやってみたいと思っています。ただ、ゆくゆくはソーシャルファームとして色んな方に参加してもらうためには収量を確保しなくてはなりません。自然農で収量を確保しようとすると土壌に無理をさせてしまい、返って植物に負担をかけてしまいます。


有機栽培にも色々な栽培方法があります。

化学肥料を使わず有機肥料を使い、無農薬で栽培すれば有機栽培となるのですが、この有機肥料も使い方が難しいのです。有機肥料は有機物で作られているため微生物の力を使って分解されたのち、植物に吸収されます。ちゃんと分解されないうちに吸収してしまうと植物がおなかを壊した状態になり、病気になり、虫がつきます。有機栽培は化学肥料に比べ、どうしても植物の生育に合わせて生産しなければならないので手間暇がかかるのです。


今回、私が挑戦しているのは植酸栽培という有機栽培方法です。

植物が本来もつ土壌の環境を自身の育ちやすい環境に整えるために根から出す有機酸を利用した有機栽培法です。植酸肥料を使うことにより土壌の環境を整え、植物が本来持つ力を最大限発揮できる環境を作ります。

根張りが良くなり、葉緑素の働きが活発になり、維管束の太い栄養を吸収しやすい元気な株を作ることができます。そのため、病気や虫にも強くなるので農薬が不要になり、土壌や植物に負担をかけることなく収量を確保し栄養豊富でおいしい作物が育ちます。


私が一番注目しているのが、農薬や化学肥料によって土壌に蓄積した硫酸や塩酸など有害な成分を分解して無毒化してくれるということです。

農薬や化学肥料によって汚染されたまま耕作放棄された土壌を再生して、畑へと再生する際にもこの植酸栽培が役に立つので、持続可能な農のあり方を考えていく上で非常に重要な役割を果てしてくれる栽培方法だと期待しています。

合同会社『あきらめの悪い人たち』

合同会社『あきらめの悪い人たち』は山形県酒田市の日向地区を中心とした地域デザイン組織です。 中山間地域の活性化、自然環境の保全、障がい者福祉、児童福祉の課題を中心とした社会課題を地域の課題として取り組み、様々なモノとコトのデザインから生まれる多様な価値観を編集し伝えていきます。

0コメント

  • 1000 / 1000